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創作相談板 記事No.6941

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Re: ありえないということ

◆ 飛鳥 [6941] 08/08/25(月) 23:57
こんにちは。前回は的外れな回答をしてしまい申し訳ありません。今度こそは質問の意図にあった回答を……っつってまた外してたらさらに申し訳ないのですが(汗)

なぜあり得ないことを求め、信じようとするのか。

それは、「あり得ない」は「あり得ない」ではなく「あり得るかも知れない」からかなぁなんて考えました。

千年生きる種族、魔法etc……ファンタジーでよく出てくる「現実ではあり得ない」ものは、JUNさんが仰られたように、それを体験した人はどこにもいないはずです。観測や実験で存在の証明も出来ていないし、万人の認める理論で説明も出来ていないはずです。少なくとも、私は知りません。
ですが、だからと言ってそれらを100%否定できるかと言われれば、それも出来ないんです。存在する確証が得られないのと同時に、存在しない確証も得られていないんですから(あくまで私の知る範囲で、です)。
99%の確率であり得ないかも知れないけれど、残り1%の確率で実在するかも知れない……完全に否定できない。それなら99%を信じてあり得ないと切り捨てるよりも、残りの1%を信じた方が夢があるし、楽しい。だから私は、「あり得ないもの」もとい「あり得るかも知れないもの」に魅かれ、求めてしまうんだと思います。
要は宝くじみたいなもんじゃないでしょうか。3億円なんて当たんねぇよと思いながらも、もしかしたら当たるかも知れないと思ってついつい買っちゃう、あの感じ。あれにちょっと似てる気が……。

あり得ないことを求め、信じようとする私の考えはそんな感じです。他にも「死や極限の境地など、現実離れしたことに関する自分の考えを物語に織り込む場合は、あり得ないことを織り交ぜた方が逆に現実味が出たり、読者の方が分かりやすい場合があるかも」とか「あり得なくなるくらい設定を極端に飛ばせば、描きたい心情がより際立つこともあるかも」とか、小説の書き方が原因でもあり得ないことを求めます。
アーチェのような設定をもつ存在をわざわざ創ろうとする理由はこちらの方が主な原因かも知れません。『リアリティの形』のところに書かせて頂いたように、設定やら世界観はキャラやストーリーを最大限活かせるようにいじりまくるので、あり得ないことを混ぜることでキャラやストーリーが活きると思えば即ぶち込んじゃいますし……。


それと、前回の質問の意図が
>>僕は“アーチェ”をどう書くか、考えてもらうことを通じて、“アーチェ”がいかに人間と比べて書きにくく、想像しにくく、共感しにくいものであるかということを示したかったんです。
であったようなので、勝手ながらリトライさせて頂きたいと思います。

JUNさんは“アーチェ”が書きにくいと仰っていましたが、私は真逆でした。書きやすいです、“アーチェ”、もとい「あり得ないもの」。じゃ〜何で書きやすいかって話ですが……書きやすいというか、私にとって「あり得ない」ことを書く方が自分で納得しやすいんだと思います。

何というか……私は自分で書いた”「あり得る」ことでなおかつ自分が体験したことないことについての文章”や”伝聞や想像や知識だけで書いた文章”が信用できないんです。
体験した人がいるということは、リアリティの面ではその人たちの感じたことがいわば「正しい」わけです。百聞は一見にしかずという言葉があるように、体験したことのない人間がいくら共感し、想像を膨らませたって、体験者の言葉には敵わない……そう思っています。
知識や論理で武装しても、「じゃ〜あんたはやったことがあるのか」と言われてしまえば、私の場合おしまいです。途端説得力がなくなって、極端な話、その時点で自分の言い分が全て嘘になってしまいます。実際に体験した時に得られる情報量は、それほどまでに確実で膨大だと思うんです。
そんな感じで書く上で貴重な情報であるはずの体験者のお話が、私の場合逆に障害となってしまい、結果自分で自分の書いたものが納得できなくなる。なので未体験のことについて話を聞いたり、考えたり、想像することはあっても公表はしない、というのが私の考えです。

そのせいで、自分にとって「あり得る」ことというのは、かなり束縛条件がきつくて書きにくいんです。上の話を総合すると、「自分が体験したことしか納得して出せない」ってことですから。いえ、まぁ実際そんなことはないですし、書いちゃったりもしていますが、常に余計な不安が付きまとうというか……。その不安を少しでも払拭するために、前回書いたような、自分の経験と結びつけて想像を膨らますといった手法を使っているんだと思います。

その点「あり得ない」こと……あり得ないまではいかなくても、体験者が少ないと思われることならば、その束縛条件が緩くなると感じています。
JUNさんが仰るように、「あり得ない」ことを体験した人はどこにもいません。しかし、それゆえにこの世に存在する「あり得ない」ことを体験した人の気持ちに関する情報は、どんなに怪しいものでももっともらしいものでも信憑性は同程度なんだと思います。
様々なルールや原作、読者の方々が抱いているイメージによって変わるとは思いますが、基本的に基準がない(誰も知らない)ので、どれが信用できてどれが信用できないかなんて判断できないわけです。誰がどう描いても結局情報の価値が同等なら、上のように、自分が知り得ることが難しい信憑性の高い情報が原因で納得できなくてお蔵入り……なんてことなく比較的自由に書ける。だから私の場合は「あり得ない」ことの方が想像しやすいし、書きやすい、と考えた次第です。

こ、今回はちゃんと質問の意図に沿っているでしょうか……? 長くなってしまいましたが、少しでもJUNさんのもやもやを晴らすお手伝いができていたら幸いです。投稿が遅れてしまって申し訳ありませんでした。それでは。

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