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創作相談板 記事No.6958

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Re: 心に残った場面

◆ 樹 [6958] 08/10/10(金) 00:37
 こんばんは。また宜しくお願いします。
心に残った場面……というか、台詞です。私からは二つを。

「みんな あなたたちが すきなんだから」  (『MOTHER』)
「でも、アセルスはそんなことしないよね?」 (『サガ フロンティア』)

 両作品それなりに有名なタイトルなので、すぐ思い出せる方もおられるかもしれませんが、場面の説明をしておきます。
 たしか前者は、マジカントという国の王女が主人公一行に言うものですが、すみません、私自身ちょっと詳しい状況までは思い出せません。
 後者は、主人公の一人クーンの、これまた主人公の一人アセルスに対していう言葉です。アセルスは望まないのに妖魔の血を輸血され、世界でただ一人の、半人半妖魔という立場に置かれたという設定の少女(「妖魔」の説明は省略しますが、要するに人間でないものです)で、妖魔の能力でモンスターのクーンを吸収することを危惧し、私のこと怖くないの? と訊くのですが、吸われちゃうのはヤだな、と前置きした上、こう答えます。

 二つはイベントでなくて、フィールド画面で対象人物に話しかけてふつうに
返ってくる物ですから、枝葉といっていいと思います。

 なんで私がこれらに反応したのかって、ありていに言えば「受容されている事への感謝」なのでしょう。王女を前にした主人公たちがどれほど励まされたか。妖魔にされてしまって不安なアセルスが、どれほど嬉しかったか。二つのゲームに共通してると思われる「台詞を含めた描写が淡白」という要素もあって、私の二次創作的な想像力を刺激してくれました。

「描写が簡潔であることは、必ずしも不親切を意味しない」
 小説では、そう言っていいのかも知れない、と思います。作者は描写なり説明なりをあえて放って、読者に任せる、という感じで。


 枝葉、見せ場でない部分と耳にして、もう一つ感じるのは。

 見せ場といって、伏線やウィット、二重三重のトリックなどを駆使して演出される「見せ場」は、確かに読者を惹きつけます。そうして力を込めた場面を
私たちは技巧と感じ、うなる一方で、ただ一つの言葉に躓いて、なぜこんなささいな事で、涙が出てくるんだろうと不思議に思うことがある。

 なにを説明されたわけでもないのに胸にくる。
 そういう一言は、読者の何かに反応したのでしょう。個人的な、おぼろげに残っているだけの記憶のような郷愁とか、あるいは愛情や哀悼の念、感謝、涙に対する感受性などのある人々に通低するもの。
 いろいろ言えるかも知れないけれど、それらは幾百幾千とつみあげ練り上げられた言葉と同じことを、ただ一言で成した、とも言える。

 枝葉で感動させる、ということを意識してできる作家がいるのだとすれば、
その一言の扱いが巧い人、ということになるのでしょうか。言うべき言葉を言うべき時に言う(……という話ではないのか?)、そういう言葉を知っていて、言うべき時を知っている。あるいはたえず模索している。


 私たちは、手に汗握る見せ場と同じくらいに、そういう一言を待ち望んで、読書をしているのかも知れません。

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