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創作相談板 記事No.6978

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Re: 「オリジナルOO」に関して

◆ JUN [6978] 08/10/31(金) 23:41
 樹さんの疑問にお応えできるか分かりませんが。
 とりあえず僕が考える所を述べておきましょう。

 オリジナルキャラが出ているということが嫌われる傾向は、確かにあると思います。なぜかというと、やはりここには二次創作を読みに来ているという意識が強いからでしょう。

 樹さんは普通の小説や、普通の作品と比較してここに投稿されている小説を論じようとしています。その論法は、普通の小説というのは、テイルズという枠からすれば、オリジナルキャラがやっているようなものだから、そちらを評価するのにこちらにあるオリジナル小説が評価されないのはおかしいというものでよろしいでしょうか。
 このサイトに多い読み手からすれば、それは全くおかしなことではないのでしょう。というのも、ここに何か読みに来る人の大半は、原作を楽しんでそこで気に入ったことや、そこにあった楽しみをどれくらい広げてくれるかと期待して来ている方が多いからです。そういう方にとっては、中身が面白かろうがそうでなかろうが、まずオリジナルの要素を前面に押し出したというだけで思考から外すに値します。
 端的に言うなら、多数派はここに普通の本や小説を読みに来てはいないんです。無論彼らにとっては、バンダイナムコホールディングスから許可すら得ていない、新しい『テイルズ』なんて、何があったって存在しないんです。

 一つ例を挙げましょう。もう三年か四年ほど前になりますが、旧投稿板時代、ここに『セキナ』という方が投稿しておられました。この方は、現在角川出版から『葵せきな』という名前でライトノベルの文庫本を出している、プロの作家です。
 彼が投稿していた作品は、当時は比較的新しいシリーズであった、TOD2の世界観を下敷きにはしていましたが、メインキャラはほとんど出演せず、ちらりと出てもあまりストーリーには関わりませんでした。主人公はオリジナルだし、戦う相手もTOD2の流れからは大きく離れていたように思います。
 その様な作品だったにも関わらず、彼の作品は当時の人気投票でぶっちぎりの1位に輝きました。それはもう、今のランキングの1位であるマハスペ氏の作品に勝るとも劣らないほどの人気でした。
 理由は簡単です。彼の作品が抜群に面白かったからです。それはここへテイルズの二次創作を読みにだけ来ているつもりの人をも惹きつけるほどのものだったのです。オリジナルだというだけで敬遠する様な人でも、ひとたび彼の作品を読んでしまえば、その虜になってしまう程のものでした。もっとも、その後しばらくしてライトノベルの大賞で入選を果たし、プロとしてデビューするからには当然だったのでしょう。
 ですが、それはここを二次創作の場として認識している方々からは由々しき事態でした。『セキナ』氏はそういう方のための作品は全く書きませんでした。それなのにそちらに人気が集まるものですから、自然と小説投稿版自体の雰囲気も彼に追随したようなものが許されるようになってきます。オリジナルの作品が増え、原作のために作られた二次創作の地位が危うくなっていきます。テイルズ二次創作の小説版なのに、そうじゃない作品で埋まる様な事態となってしまう。
 そういう危惧からかどうか分かりませんが、やがてこじつけや、重箱の隅をつつく様な批判で『セキナ』氏を追いやろうとする動きが広がっていきました。捨てハンドルネームなどを使い、感想欄に中傷に近い書き込みが成される。それに対し、彼の作品を大切に思っている人が必死の反論をして炎上状態となる。そんな事態が頻発したせいか、セキナ氏はここから全ての作品を削除し、自分のサイトを立ち上げてそちらへ作品を移してしまいました。
 それからは、小説版はその時ほどの盛り上がりを見せないまでも、一応読み手が求める様な二次創作をメインとして大きく荒れることも無く、平穏に続いてきているように思います。
 このような事態は、確か他に『紫狼』という方の『古の記憶』という作品でも起こっていた様に思います。彼の作品も世界観はTOPでしたが、ミラルドがみつけた書物の中の物語という設定で語られる、主人公や登場人物がTOPとはほとんど別の作品でした。かなり完成度の高い作品ではあったのですが、酷い中傷や激しい口論が度々感想欄で見られていた様に思います。こちらの場合、その後連載が止まってしまったこととは、そんなに因果関係があるとは思えないのですが。

 これらの事態は、二次創作がやはり原作ファンのためにあるべきものだということの証明に思えます。やはり原作に敬意を抱く人にとっては、それをないがしろにする行為は許されないのです。それは作品の質とかに、さほど関係ありません。読み手として考えた場合、何でもいいから凄い作品を見つけた場合、多少の嫉妬心はあれど、平穏に続いて、きちんと終わって欲しいものなのですがね。そういう作品の方にどっちかというと有名になって欲しいとも思います。
 しかし、そんなものよりもまず原作のためにあるのかどうかを評価しようとする雰囲気、色がある。それが恐らく日本で行われている殆ど全てのゲームやアニメ、漫画や小説におけるファンフィクションの現状なんじゃないでしょうか。そして、それゆえに、それらは独自性を保っているのかも知れません。さらに言えば、一貫してそうであったからこそ、数えて八年ほども小説板が続いているのかもしれません。
 これらが、PS版エターニアの発売した頃からここを見てきた人間の結論です。残念ながら、オリジナルはオリジナルだというだけでやはり生きにくいものなのでしょう。


 これらは僕なりの現状分析です。続いてMIXOOの今後の可能性について。これは完全に僕の主観ですが。

 正直に言って、未知数だと思います。この作品の場所の雰囲気を見る限り、大きく表には出ていないまでも、オリジナルに近い作品で高い評価を受けている例があるからです。直接言及することは避けますが、うまく両方のファンを増やしているような作品の例は、樹さんにも思い当たるものがあるのではないでしょうか。MIXOOと銘打ってはいなくても、比較的書き手が自分で創り上げた色の強い作品が、ランキングに見られます。僕自身は点数を稼げていないので、良い例にはなれません。しかし実力で着実に評価を得て、アップされればあっという間に点数が付く様な作品を書く方だっていると思うんです。僕は、二次創作という記号とコミュニケーションだけに頼った高得点の作品より、それらの方を好ましく思います。
 だから、面白い作品さえ作ることができれば、十分に評価される下地というのはあると思います。本当に作品次第というジャンルが、MIXOOだと思うんです。短いですが、この辺りが僕なりの見通しでしょうか。

 ただ、MIXOOの膨張がサイトの崩壊を招くというのも、また事実だと思います。残念ながらこのサイトは、現状書き手のための場所では無く、原作が好きな読み手のための場所です。書き手のための場所となったとき、どういう風に生き残れるのか、僕にも分かりません。その見通しも無いままに、書き手としての視点だけで突き進み続けるのならば、やはり僕はサイトの『鬼子』なのでしょう。
 不人気で話題にも上らないならともかく、いずれ人気を得る時が来たら(永遠に来ないのかも知れませんが)、考えなければならないと思います。まだ僕は考えられていませんし、自分がそういう書き手だとして、書くことを止めることも、また無理やりに原作に従うこともできそうにない状況です。


 それはさておき、無理やりにまとめさせてもらえば。オリジナルキャラは、やはりそれだけで嫌われる方向にあります。それは、原作と認められないからです。しかし、MIXOOに関しては、面白い作品が面白いと言われる可能性はあります。だから見通しについてはそう暗くもないと思います。

P.S.
 樹さんの作品には期待しています。僕自身も、キャラ、世界観ともに原作だとしても新しい出来事などを積んで、掘り下げていくのが得意です。そういう意味では、もう新しいテイルズを作ってしまっている側なのでしょうか。いずれにせよ、僕はやはり書きたい物を書くという考え方が強い様です。作品については、やりたいようにやって、評価してくれる人に応じておけば良いんじゃないでしょうか。それでは。

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