マジェスティックファンタジアン

HOME > 創作相談板 > 創作相談板

創作相談板 記事No.7173

過去ログ直接移動 [ 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ]

Re: メタファーについて

◆ 風伯 慧 [7173] 09/03/26(木) 00:13
こんばんは、興味深い記事だったので書き込みしてみようと思います。

まず質問に対する私の答えです。
暗喩(メタファー)を使った表現は多めにあると思います。映画のようなカメラワークより、物(シャンデリア)であったり現象(切れ掛かっている電球、桜etc)そのものが暗喩になっていることが多いです。私自身の・・・特にここにある作品でも暗喩は多用していますが、読者にどれくらい伝わっているかと問われると・・・私はさらに空気な存在で判断材料がより一層ない為、お答えは出来ないのですが。
その代わりに有名な小説暗喩描写として、一例を出せば。芥川龍之介の『羅生門』のラストシーンなどがあります。国語の授業で『暗喩の技法』を学ぶ物として教科書にあり、どこでどのように暗喩が使われているかを習います。
ちなみにうろ覚えなので細かい所は違うかと思われますが、文中の締め括りあたりに「夜闇の中へと走り去る男の姿」が描かれ、「その後の男のよからぬ未来」の暗喩とされています。

映画的・・・というか瞬間的な暗喩描写という面では、私にとっては小説の中の方が使うべき場所というくらいに感じています。同じ表現ばかりになる直喩(〜ような、〜ように)より、何気ない動作や文章に自然に組み込めるという意味では使い勝手の良い技法となります。余談ですが、私はむしろ映画での暗喩を見つけるのが苦手かもしれません。シャンデリアの意味は初めて知りました;
ただ、暗喩は今の余談も含めて絶対にわかるというものではありません。
読み手なり視聴者なりに、ある種のお約束と連想力を求めることとなります。
お約束とは「こう来れば、そうなる」という暗黙の了解で成り立つくらいに使い古された暗喩のため、まだ理解しやすいのですが、それ以外ではひたすらに連想ゲームです。
お約束的キーワード「桜」にしても桜→花が散る→命が散るなどの連想から生死関連になりますし、「硝子」なら硝子→脆い・砕けやすい・触ると切れる→人物の性格・性質を現す物として多用され、その人物を描く状況描写に組み込む等で暗喩にするのですが。この連想ゲームが作者と読者ですれ違ってしまう、もしくは読者側に全く連想されないと成立しがたい、されない無意味な表現になってしまいます。

そういう条件つきで、一瞬のメタファーにどれほどの力があるのか。
これには作者の力量と、さらに読者の連想や想像力、読解力にかかってくると思います。(ちなみに大きなメタファーというのは、テーマと呼ばれるのかもしれません)正直、流し読みしかしない方への効果はほぼ期待できないと思われます。暗喩の存在は二度読み、深読みして見つけて楽しむような節があるので。
本屋で読者が選んで読んでいる小説なら、これが無くてはつまらない読み物となってしまうかもしれません。ですが、ここの小説板のように大勢の書き手の一人となると、そこまで読み込んでもらうのは難しい。傾向としてどちらかというと、読みやすい、軽い小説が好まれる場所でもあるようですし。
よってこのような場に於いてに限っては、暗喩メタファーの瞬間的効果はかなり薄いのでは無いか。

・・・と自分の投稿作の反応薄いのは、暗喩を乱用して意味不明になっているのも一因だろうなとか考えていた、今日この頃の私の見解でした。

 関連ツリー

マジェスティックファンタジアン Nebel TreeRes BBS v1.00β Credit:校倉