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創作相談板 記事No.7189

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Re^2: メタファーについて

◆ ブレイズ [7189] 09/04/09(木) 23:40
>>JUNさん

おひさしぶりです。お忙しいようですが、お体など壊すことのないように、無理せずご自分のペースでやってゆかれればな、と思います。


>ずいぶん前ですが、ブレイズさんのディスコ探偵の書評読みました。メタフィクション、ってやつなのかな。ブレイズさんが好きそうな話ですよね。

読んでいただいてありがとうございました。ディスコ探偵はまさに僕の好みどストライクって感じで、生涯の読書体験の中でも一・二を争うほど興奮した作品でした。舞城王太郎の他の作品からのネタがたくさんあるので、この作家を始めて読むのには向いていないかもしれませんが、機会があればぜひ読んでみて欲しいです。

>暗喩って結構分かりやすい形にできると思うんです。例えば、順風満帆の主人公に何か恐ろしいことや悲しいことが起こる。こういう時に、それまで天気が良かったのに、突然黒い雲が出て雨が降り出すなんていうのは、多くのお話でよくやられることだと思います

メタファーの中でもわかりやすい暗喩と分かりにくい暗喩が当然あるでしょうし、また、分かりにくい暗喩を読むにしても、読者によって味わいの深さは変わってくるのでしょうね。たとえば作者はこのメタファーで読者に10を伝えたかったとしても、読者はもしかしたら3合目までしか読めなかったり、あるいはYを読んでしまったり、八を読んでしまったり。要するにメタファーは、その暗喩が指し示すものと完璧な等号で結ばれるわけではなく、それを読む人によって、両者の間にはさまざまな包含関係が結ばれるということです。
上に示されたようなわかりやすいメタファーは、限りなく「メタファー=暗喩の指し示すもの」という等号関係に近い、つまり僕の言うところでは、奥深さがないのではないかと思うわけです。
わかりやすさを取るべきか、それとも奥深さを取るべきかという選択は、きっと描きたい場面によって違ってくるのでしょう。やっぱり「ここだけは読者に過不足なく伝えたい」という部分もあれば、「ここはちょっと深読みして欲しいなあ」と感じる部分だってありますからね。
わかりやすい暗喩と深みのある暗喩を的確に使いこなすことが出来れば、洗練された文章を書くことが出来るという事になるのでしょうか。

>暗喩が分かりにくい、って考える方が結構いらっしゃる様なんですが、僕は文章の暗喩っていうのは、結構分かりやすくすることができると思います

これは上で言ったこととはまた違って、「わかりにくい(深みのある)暗喩を、補足することによって読者に伝わりやすくする」という方法について書かれていますね。このようにすれば、読者に対して伝達率の高いメタファーを描くと同時に、そのメタファーに味わい深さを付加することも出来ます。
上で言った「ここだけは読者に過不足なく伝えたい」という部分を描くときは、なるべく「わかりにくい(深みのある)暗喩を補足する」ように書くように心がけようかと思いました。でもこの気持ちは、「やっぱり平凡なメタファーなんて使ってられないぜ」という僕のいじましい心根が考えていることなのかもしれません。

>僕がシャンデリアを相棒の死の象徴として使うんだとしたら、そこに主人公の感想の様なものを入れます

これが上記の「わかりにくい(深みのある)暗喩を、補足することによって読者に伝わりやすくする」という手法ですね。メタファーを「暗喩の内容を伝えるためのもの」として評価するのであれば、この手法は非常に有効だし、とても良心的だと思います。
ただ、メタファーを「たくさんの一瞬のメタファーを積み重ねて、物語全体の雰囲気を演出するもの」として評価するのであれば、暗喩についての補足なしで、読者に伝わろうが伝わるまいがそのまま一瞬のメタファーとして使ってしまうのもありだと思うのです。
いろいろな手法を自分の中で確立し、整理していくことが、洗練された文章を書くための一つのステップになってくるのでしょうね。

>ダオンドゥス”という人の作品です

探して読んで見ます。

>ダオンドゥスさんの作品は結構独特で強烈です

強烈な作品は大好きです。ちなみに舞城王太郎もかなり強烈な描写をする作家で、人を選ぶ作家です。読む場合はまず店頭で立ち読みしてから決めることをおススメいたします。

>メタファーってあまり考えていませんから、僕はできるだけ説明しようとしてしまいます。場面を書いても、メタファーにはならず、結局説明してしまっている場合が多いようです

風伯慧さんへの返信でも書いたのですが、そういったせつめいしてしまっている場面というのは、一瞬のメタファーとしては成立していなくとも、大きなメタファーとしての役割をちゃんと持っているのだと思います。一瞬のメタファーが文章の深みを増すのなら、大きなメタファーは、物語全体のテーマを補強したり、そういう大きな役割を任せられると言う点で優れているのかな、と自分では勝手に思っています。


ということで、レスありがとうございました。こちらこそ楽しかったです。
読者の記憶に残るメタファーを書けることを目指して僕も頑張ろうと思います。
それではまた。

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